川口15位、「外国人住民の割合が大きい街」TOP150
花見の季節、桜の名所を訪れると、例年以上に外国人の姿を見かけることが多くなった。観光客はもちろん、地元に住んでいる外国人が花見に繰り出している様子も見て取れる。それだけ、日本国内に住む外国人が増えているということなのだろう。
今回は視点を変え、「外国人が人口に占める比率(外国人比率)」で、同様にランキングを作成してみた。
トップ10のうち5つが関東、4つが東海
まず、市区町村別ランキングの前に、都道府県別に外国人比率のランキングを見てみよう(全国平均は2.87%)。
1位は東京都で、外国人比率は5.05%。トップ10のうち5つを関東の都県が占めた。
意外だったのは東海地方の4県(愛知、三重、岐阜、静岡)がすべてトップ10に入っていた点だ。これらの県は製造業を中心とした産業構造を持っており、多くの外国人労働者が働いていることなどが理由として考えられる。
逆に、外国人比率が小さい都道府県は43位:山形県(0.98%)、44位:高知県(0.94%)、45位:岩手県(0.91%)、46位:青森県(0.67%)、47位:秋田県(0.60%)。東北地方の県が下位に集中している。
■都道府県別外国人比率ランキング
(出所)出入国在留管理庁「在留外国人統計」、財務省「住民基本台帳」を基に作成 |
ここからは、市区町村別の外国人比率ランキングを見てみよう。
前回の「『外国人が急増した街』TOP150」と同様、全国の1741市区町村(北方領土の4島の村を除く)を人口規模に応じて、①1万人未満、②1万~5万人、③5万人超の3区分に分け、それぞれでトップ50のランキングを集計した。
外国人が人口の「3分の1」を占める村
① 人口1万人未満(532自治体)
1位は川上村(長野県)の33.47%。以下、2位:占冠村(北海道:26.90%)、3位:南牧村(長野県:21.51%)、4位:赤井川村(北海道:20.47%)の計4自治体が、外国人比率 20%を超えた。
川上村は、3741人の人口に対して外国人は1252人と、実に3分の1超を占める。同村は全国有数のレタスの産地として知られ、技能実習生や特定技能の外国人が多く住んでい る。中でもインドネシア人が754人と約6割を占める。3位の南牧村も同じく高原野菜の産地で、外国人実習生を多く受け入れている。
この区分ではランキング50自治体中20自治体を北海道が占め、ここでも北海道の人気ぶりがうかがえる結果となった。
2位の占冠村は「星野リゾート トマム」などが立地するスキーリゾート。同村では古くから多文化共生を柱に掲げており、観光地では多くの外国人を受け入れている。
4位の赤井川村も「キロロリゾート」を有するスキーリゾート地で、前回の外国人住民増加率ランキングでも9位(1219.0%)にランクインした。
■都道府県別外国人比率ランキング
(出所)出入国在留管理庁「在留外国人統計」、財務省「住民基本台帳」を基に作成 |
群馬県大泉町は「日本のブラジル」
② 人口1万~5万人(692自治体)
この区分で1位となったのは大泉町(群馬県:21.32%)。同町を含む群馬県南東部は国内屈指の工業地帯で、以前から海外に住む日系ブラジル人の受け入れを推進してきた。事実、外国人住民の55.1%をブラジル人が占めている。街中には店内の値札や看板などポルトガル語表記が見られるなど、同町は日本有数のブラジルタウンだ。
人数の多い自治体に目を向けると、4位の高浜市(愛知県:9.50%)は衣浦臨海工業地域に位置し、ベトナム、ブラジル、フィリピンなどの外国人が多く働いている。11位の富里市(千葉県:8.00%)は成田空港のある成田市に隣接しており、空港で働く外国人が多く居住している。
■人口1万~5万人で外国人比率の大きい街
(出所)出入国在留管理庁「在留外国人統計」、財務省「住民基本台帳」を基に作成 |
2位に入ったのは在日クルド人が多い「あの市」
③ 人口5万人超(517自治体)
人口規模の大きいこの区分では、上位50位中17自治体を東京23区(特別区)が占めた。中でも1位の新宿区(東京都:13.42%)には4万6869人もの外国人が居住する。うち最多の38.1%を占めるのが中国人。また国内最大のコリアンタウン・新大久保を有することから、うち約2割を韓国人が占めるのが特徴だ。
「日本で最も面積の小さい市」として知られる2位の蕨市(埼玉県:12.21%)は、外国人の6割強を中国人が占める。また、隣接する川口市も15位(7.64%)にランクインしており、同様に外国人の5割以上を中国人が占める。
ちなみに、蕨市(および川口市)は「ワラビスタン」などと呼ばれ、在日クルド人が多いことでも知られる。「在留外国人統計」にはその実態は反映されていない(統計上の蕨市に在住するトルコ人は78人)が、難民認定を受けらず、在留資格を持たない仮放免者が多いと推察される。
4位の常総市(茨城県:11.46%)は製造業が盛んな地域で、ブラジル、フィリピン、ベトナムをはじめ多様な外国人が居住する。市内には多国籍の外国人が集うコミュニティーも形成されているようだ。
外国人人口の絶対数が大きい自治体にフォーカスすると、最大は30位の大阪市(6.62%)の18万2619人。国籍別の内訳では韓国(5万6314人)、中国(4万9103人)、ベトナム(2万7537人)、ネパール(1万2360人)の順に多い。中でも大阪市生野区は日本有数のコリアン集住地区で、区の人口(12万6376人)の1割強に相当する1万7891人の韓国人が居住する。
東京23区で新宿区に次いで外国人人口が多いのが、27位の江戸川区(6.75%)の4万6574人。中国(1万7061人)、インド(7653人)、韓国(4063人)、ベトナム(3930人)、フィリピン(3357人)、ネパール(2530人)と国籍も多様だ。とくに小岩は多国籍なお店が軒を連ねる「エスニックタウン」として知られ、一部のファンに愛されている。また、同区はインド人人口が全国の自治体で最も多く、西葛西にはインド人コミュニティーが存在する。
関東圏以外では、5位の美濃加茂市(岐阜県:10.90%)、7位の可児市(岐阜県:9.35%)、8位の碧南市(愛知県:9.32%)と、都道府県ランキングと同じく東海地方の自治体が目立つ。いずれも自動車部品をはじめとする製造業の工場が立地するエリアで、多くの外国人労働者を受け入れている。
■人口5万人超で外国人比率の大きい街
(出所)出入国在留管理庁「在留外国人統計」、財務省「住民基本台帳」を基に作成 |
外国人比率が小さい自治体は東北に集中?
最後に、外国人比率が小さい自治体のランキングも見てみよう。
① 1万人未満(532自治体)
1位:田舎館村(青森県):0.22%
2位:津奈木町(熊本県):0.26%
3位:玄海町(佐賀県) :0.28%
4位:大間町(青森県) :0.29%
5位:八郎潟町(秋田県):0.30%
② 1万~5万人(692自治体)
1位:藤崎町(青森県):0.20%
〃 :いの町(高知県):0.20%
3位:鶴田町(青森県):0.23%
4位:板柳町(青森県):0.26%
5位:平川市(青森県):0.27%
③ 人口5万人超(517自治体)
1位:むつ市(青森県) :0.31%
2位:五所川原市(青森県):0.33%
3位:滝沢市(岩手県) :0.44%
4位:岩見沢市(北海道) :0.45%
5位:富谷市(宮城県) :0.47%
都道府県ランキングの傾向と同様、やはり東北地方の自治体が多くを占めた。とりわけ青森県内の自治体が目立っている。
しかし、この中には藤崎町(青森県:141.7%)や岩見沢市(北海道:175.0%)のように、外国人人口がこの10年で急増している自治体もある。5年後、10年後はこれらの中から「外国人比率が高い自治体ランキング」の上位に顔を出す自治体が現れるかもしれない。
(提供:2024年4月4日 東洋経済オンライン)
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